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社長紹介
髙橋和成社長。2000年に株式会社カルイの4代目として代表取締役に就任。千葉の大学を卒業後、首都圏のある会社で4年間勤務する。その後山形に戻り、カルイに入社。製造現場や営業の仕事に携わった後、代表取締役に就任する。
カルイ 社是
当社は、農業機械・産業機械を開発、製造、販売している。
自然の力を認め、この偉大なる恵みを感謝しながらこの力に我々の智慧を加えて更に効率化、高度化できないかを開発の基本とする。
環境の保全だけでは、この自然は保全不可能であり、自然環境の浄化を最終目的として開発にあたり、顧客本位の製品作りが経営の基本である。
「顧客本位」とは、お客様の”本当に求めているもの”に応えること
-貴社の社是は、「顧客本位の製品作りが経営の基本である」と締めくくられています。社長は「顧客本位」をどうお考えですか。
(社長)
お客様の”本当に求めているもの”に応えることだと思います。私たちのような製造業は、作り手が「きっとこういう製品を望んでいるはずだ」といった思い込みに陥りやすいのです。「お客様の声を聞くことを大事にしています」と言っても、つい生産の効率化やコストの軽減を追い求めてしまい、お客様の声を無視してしまうことはよくある話です。そのような過ちを犯さず、確実にお客様の声を聞いて、製品に反映していくことを目指しています。
-その、「お客様の声」はどのように集めていらっしゃるのですか。
(社長)
当社の営業マンは、日々の営業や展示会などでお客様と接する機会はたくさんあります。そこで直接聞いたお客様の声を、社内の日報や会議などで社内に共有し、開発会議などに持ち込まれます。
お客様の声は千差万別。だけど、それぞれに満足していただきたい。
-とはいえ、お客様の声をすべて反映することは難しいですよね。
(社長)
はい、お客様の声は千差万別です。できることと、どうしてもできないことというのは生まれてしまいます。
当社では粉砕機を製造しています。粉砕機と一口に言っても、お客様が実際に粉砕するものは種々様々です。いろんな要望をお客様からいただきますが、Aという農家さんがこうしてほしいと思う要望に応えたら、その機能がBという農家さんには邪魔になるかもしれません。お客様の要望を網羅しすべて反映することは難しいのです。
それでも、お客様の声を反映したい。例えば、A様とB様とC様の要望を照らし合わせて、三人が共通に思っていることは最低限反映しなくてはいけないと思っています。共通項以外を切り捨てるわけではありません。お客様がそれぞれに満足していただけるように、努力していきます。
頂いたお客様の声を会議にて共有し、話し合います。
全ては難しいが、最低限お客様の声を反映したいです。
お客様に対し「できること」を増やすため―まだまだ情報不足。お客様の生の声を聞きたい。
-できることとできないことは、どのように選定されていますか。
(社長)
やはり、技術的・コスト的・時間的にできないことはあります。良い機能をばんばんつけても、機体自体のコストが上がってしまったら意味がないですし。
ただ、できないからといって「できない」と頭ごなしに否定するのではなく、
「試してみましたが、ここを改善すると、○○という不具合が起きてしまいます。」というようにお客様にきっちりできない旨の説明を伝えることは必ず行っています。
-「できること」を増やすためにどういうことをお考えですか。
(社長)
会社全体の力を向上させていきたいです。そのためにはまずは、もっともっとお客様の声を集める事ですね。まだまだ情報が足りていないと思います。営業による聞き取りをアップさせていきたいです。
それと、自分たちが「これが良い」と思っていることとお客様が「良い」と思っていることにギャップがあるという問題点があります。例えば、お客様が粉砕機に何を求めているか。粉砕機にはナイフで粉砕する切削式のものと、ハンマーで粉砕する破砕式のものがあります。
最近は、粉砕効率が良いナイフ式のものがお客様からは人気です。ですが、ナイフ式は繊細で、砂利などを枝と一緒に放り込むのはご法度です。ナイフが切れない状態では作業性が悪いので、ナイフの管理はこまめに行わないといけません。ハンマー式は、ナイフ式に比べると効率は劣りますが、多少の砂利などの異物にもびくともせず粉砕します。ハンマー式にも良い所があるのですが、今はナイフ式が流行っていますので、なんとなくナイフ式の方が良いだろうと思って購入してしまう方もいます。
このようなお客様と私たちのギャップを埋めるためにも、お客様の声が大事になってきます。どんどん集めていきたいと思います。
(社長)
粉砕機を「こんなもんだろう」と思い購入してしまうお客様もいらっしゃいます。当社は製造を行っていて、販売は小売店に委託しています。何度も申し上げましたように、お客様が粉砕するものは樹木や貝殻、竹など様々です。
実際にお客様が粉砕したいものが購入しようとしている粉砕機で粉砕できるのかを、よく検討してほしい。粉砕機は安い買い物ではないです。せっかく買っていただくのだから、後悔してほしくない。実演をおこなっている理由はこれです。ちょっとでも「あれ?」と思うことがあればいつでも気軽に尋ねてください。
人気のナイフ式。繊細でメンテナンスが頻繁に必要。
ハンマー式。効率は劣るが砂利などにびくともしない。
人気のナイフ式のみ製造・販売するのではなく、お客様の声をどんどん集め反映した製品開発をしていきたい。
自然の恩恵あってこそのメーカー。自然と共存した製品開発を
-これから、どういった考えのもと社是を守っていこうとお考えですか。
(社長)
顧客本位の経営については述べたとおりです。社是で、「自然の力を認め、この偉大なる恵みを感謝しながらこの力に我々の智慧を加えて更に効率化、高度化できないかを開発の基本とする。」という部分があります。自然の力を認め、壊さないように努力しないことにはその力の恩恵も受けられないと思います。
例えば、さくらんぼの凍霜害があります。凍霜害とは、さくらんぼの花が咲く4月に霜が降り、さくらんぼの実が生らなくなってしまう農作物の被害のことです。これの対策として、さくらんぼ農家さんはかつて古タイヤを燃やして大気をあっため、霜が降りるのを防いでいました。霜が降りるのは朝方ですから、作業は夜通し付きっきりで行われます。古タイヤを燃やしているから、大気汚染にもなる。農家の方の負担と、大気汚染を減らすために、静岡の茶畑で使われている防霜ファンと、地表を濡らして降霜を防ぐための散水システムを開発したこともあります。
このような、自然と共存していけて環境を壊さない製品を開発していきたいと思います。
これからは、行政と協力し合い、より地元密着を進めていきたい
-最後に、今までの自身を振り返っての評価とこれからの展望を教えてください。
(社長)
なにかを達成した!ということはまず無いです。あれをやればよかった、これをすればよかった、という後悔があります。まだまだ精進していかなくてはいけません。
これからの展望としては、今まであまり携わらなかった、行政を交えての経営を行っていきたいと思います。例えば、山形県では、県内の農家さんが求める機械が開発できるよう、県内の製造業とマッチングを行っております。山形県は「果樹王国」と称するほど果樹栽培が盛んな地域ですが、実は、農家さんへ粉砕機の普及はさほど多くありません。山形だけではなく、東北地方全体がそうですね。ですから、地元の方々により粉砕機を知ってもらうために尽力したいです。地元の方相手ですと、よりお客様と接する時間が増えますから、お客様の声も集まりやすいと思いますし。一つの手段として、地元密着をより深めることを考えています。
県と協力して地元密着を深めることを考えています。
お客様に対し嘘をつかないメーカーでありたいです。
お客様へのメッセージ―
お客様に対して、嘘をつかない正直なメーカーでいたい
-お客様へのメッセージをお願いします。
(社長)
お客様に対して、嘘をつかない、正直なメーカーでありたいと思います。
製造の過程で、Aということを優先するとBということを犠牲にしてしまうことがあります。すると、Bを優先してほしかったお客様は「なぜBをしないんだ」と思い、誤解が生まれてしまうかもしれません。こうこうこういうわけで、Aを優先しました。ときちんと説明したうえで商売をするメーカーでありたい。これからも精進してまいりますので、なにとぞよろしくお願いいたします。
髙橋社長、お忙しい中ご協力ありがとうございました。
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